【ソウル=ヘルスコリアニュース/イ·ジヘ記者】 韓国の研究陣が人体の腸の中にある「CD4T」細胞のミトコンドリア機能調節を通じて炎症性腸疾患を治療できるという事実を明らかにした。
慶北大学病院内分泌代謝内科のイ·インギュ教授と消化器内科のキム·ウンス教授、そして慶北大学代謝疾患および老化研究所のイ·ホヨル博士と漆谷(チルゴク)慶北大学病院内分泌代謝内科のチョン·ジェハン教授の共同研究チームの研究結果である。
ミトコンドリアは細胞活動に必要なエネルギーを生産する小器官で、老化、癌、糖尿病、肥満、各種炎症性疾患でその機能が減少することが知られている。
研究チームは「PDK4(Pyruvate dehydrogenase kinase 4)」というミトコンドリア酵素が炎症性腸疾患患者の組織で増加するという事実に着目し、キナーゼ4(kinase 4)を炎症性腸疾患マウス(ハツカネズミ)モデルで阻害し、このようにすれば炎症性腸疾患が改善されるという事実を確認した。
特にCD4 T細胞でキナーゼ4を欠乏させた時、ミトコンドリア機能が回復し、炎症性T細胞であるTh17細胞への分化が抑制され、炎症を改善するTreg細胞への分化が促進されることを究明した。
研究チームは、キナーゼ4がCD4T細胞内の細胞小器官ミトコンドリアと小胞体の間の膜構造であるMAM(mitochondria-associatedERmembrane)に位置し、二つの小器官間のカルシウムの移動を促進することで、窮極的に細胞質のカルシウム濃度を増加させ、「NFAT1(Nuclear Factor of Activated T-cell 1)」というT細胞転写因子を調節することを究明した。
研究チームは「開発中のキナーゼ4阻害剤を炎症性腸疾患マウスモデルに投与した結果、炎症性腸疾患が改善されることを確認した」と明らかにした。
イ·インギュ教授は「今回の研究は既存の免疫抑制剤と差別化されたメカニズムで、ミトコンドリア機能および代謝の調節を通じて炎症性腸疾患の治療可能性を確認したということに意味がある」とし、「炎症性腸疾患の治療で既存薬剤の制限点を克服し、新しいメカニズムとしてキナーゼ4阻害剤の併用投与効果を確認することが後続研究の目標」と述べた。
今回の研究結果は米国消化器学会が発行する基礎研究公式雑誌「細胞および分子消化器学および肝臓学(Cellular and Molecular Gastroenterology & Hepatology)」に今年10月オンラインで掲載された。[헬스코리아뉴스]