【ソウル=ヘルスコリアニュース】 人間とバクテリア、そしてウイルスは絶え間ない生存戦争を繰り広げ、固有の免疫体系を発展させてきた。 バクテリアの防御膜を突き破って攻撃するウイルスの免疫回避システムと、これを無力化させるバクテリアの免疫システムの相互作用を国内研究陣が新たに明らかにし、今後人間遺伝子編集技術にも応用できるものと期待される。
中央(チュンアン)大学薬学科のパク·ヒョンホ教授と中央大学薬学大学院グローバル革新新薬学科のイ·ソヒョン学生(博士課程)の共同研究成果だ。 研究チームはバクテリアが自分の免疫体系であるクリスパーカス(CRISPR-Cas)を攻撃するウイルスの抗クリスパー(Anti-CRISPR)遺伝子を調節し、免疫システムを回復する新しいメカニズムを明らかにした。

よく遺伝子はさみと呼ばれるクリスパーカスは、バクテリアが自分を攻撃するウイルスの遺伝情報を覚えていて、類似遺伝子を持つウイルスが浸透する場合、直ちに除去する防御システムだ。
ウイルスはクリスパーカスを抑制する多様な抗クリスパータンパク質を持ってバクテリアの免疫体系を無力化させ進化してきた。 バクテリアもウイルスの抗クリスパータンパク質を無力化する防御体系を備えていると推定されたが、これまで関連メカニズムは知られていなかった。
研究チームは、ウイルスの抗クリスパー遺伝子と密接な関係を示すバクテリアのAca(anti-CRISPRassociate)タンパク質に注目し、抗クリスパータンパク質との相互作用を研究した。
研究の結果、Acaタンパク質は抗クリスパータンパク質の発現を阻害する転写因子として作用するという事実を明らかにした。 それだけでなく、Acaタンパク質は抗クリスパー遺伝子の特定プロモーター(Promoter)に結合する方式で抗クリスパーの発現を防ぎ、クリスパーカスを正常作動させるという事実を確認した。 プロモーターとは、すべての生命体で遺伝子の転写(合成)を調節するDNAの特定部位をいう。
研究チームはAcaタンパク質の3次元構造を究明し、どのようにこのタンパク質が特定プロモーターに結合してウイルスの武器となるタンパク質遺伝子発現を阻害できるかを分子レベルで究明した。
パク·ヒョンホ教授は「今回の研究はウイルスの免疫回避システムに対抗するバクテリアのもう一つの生存戦略を究明した研究」とし「抗クリスパータンパク質、Acaタンパク質は実際のクリスパーカスシステムを調節するタンパク質であるため、人間遺伝子治療技術として注目されるクリスパーカスの精巧な調節などに応用できるだろう」と話した。
今回の研究結果は国際学術誌「ニュークレック·アシズ·リサーチ」8月26日付に掲載された。[헬스코리아뉴스]