[ソウル=ヘルスコリアニュース] 韓国の研究チームが認知症を誘発する疾患であるアルツハイマー病の進行を防ぐ薬物を発見した。 糖尿病治療薬剤「DPP-4抑制剤」がアルツハイマー病患者でアミロイドベータ(Aβ)たんぱく質の蓄積と認知機能低下を防げるという研究結果が出た。 今回の研究結果が、今後のアルツハイマー病治療剤開発に大きな役割を果たすものと期待される。
延世大セブランス病院神経科イ·ピルヒュ教授と仁済大上渓白病院神経科チョン·スンホ教授の研究チームは12日、「脳アミロイドPET映像検査を通じてアミロイド沈着が確認されたアルツハイマー病患者で経口用血糖降下剤のDPP-4抑制剤を服用した際、アミロイド蓄積が相対的に少なく追跡観察でも認知機能の悪化が遅いことが確認された」と明らかにした。
アルツハイマー病は退行性の最も一般的な脳疾患だ. 脳にアミロイドたんぱく質が蓄積されるのを皮切りに、認知機能の低下が次第に進み、結局認知症に至る疾患だ。
健康保険審査評價院によると、国内のアルツハイマー病患者は、15年の31万5967人から19年は49万5117人へと早いテンポで増加している。 最近、米食品医薬局(FDA)の条件付き承認を受けたアドゥカヌマブ(aducanumab)を含め、アミロイドベータ標的抗体がアルツハイマー病治療剤として脚光を浴びているが、まだ効果が完璧に立証されたわけではない。
研究チームは新村(シンチョン)セブランス病院と江南(カンナム)セブランス病院のアルツハイマー病患者282人を対象に研究を進めた。 アルツハイマー病診断時、DPP-4抑制剤を服用するかどうかを基準に、アミロイドベータたんぱく質の蓄積程度をPET映像を活用して定量分析した。 さらに、簡易精神状態評價(Mini-Mental State Exam)を利用して1年以上の間隔で2回以上実施した108人の糖尿病を伴うアルツハイマー病患者で、DPP-4抑制剤の服用と時間による認知点数の低下速度との関係性について分析した。
研究の結果、断面分析において、DPP-4抑制剤服用患者群が未服用患者群だけでなく、糖尿のないアルツハイマー病患者と比べても、アミロイドベータタンパク質蓄積程度が少ないことがわかった。 縦断分析でも、DPP-4抑制剤服用群が、未服用アルツハイマー病患者群に比べて予後が良かった。
簡易精神状態評価では、DPP-4抑制剤を服用した糖尿アルツハイマー病患者群は、毎年認知点数の悪化速度が0.87と確認された。 一方、DPP-4抑制剤を服用していない糖尿アルツハイマー病患者群では、毎年認知点数が1.65減少することが分かった。 DPP-4抑制剤を服用した患者群が、毎年認知点数の減少が0.77ほどゆっくりと進められたのだ。
チョン·スンホ教授は「今回の研究を通じてDPP-4抑制剤が糖尿病を伴うアルツハイマー病で予防および神経保護効果を持っていることを間接的に確認できた」とし「糖尿がないアルツハイマー病で臨床研究の必要性も提示した」と述べた。
イ·ピルヒュ教授は「糖尿病患者ですでに使われている薬剤が認知症の進行を遅らせる効果があれば、経済的に相当な波及効果がある」とし「高齢化社会が進むにつれて認知症の有病率が急激に増加しているが、今回の研究が新しい認知症治療剤開発に役立つことを願う」と述べた。
今回の研究結果は臨床神経学分野の権威ある学術誌「神経学(Neurology, IF 9.901)」9月号に掲載される予定である。 米国神経科学会(American Academy of Neurology)は、今回の研究結果を公式広報サイトを通じて紹介した。
以下は今回の研究に関する写真と説明である。