[ソウル/ヘルスコリアニュース] アルツハイマー病(Alzheimer'sdisease)の発病の有無だけでなく、病気がどれだけ進行したのかを具体的に診断できる脳脊髄液中の特定タウタンパク質タイプが発見された。
これまではアルツハイマー病の深刻度を測定するためには、高価な陽電子断層撮影(PET)検査を通じて脳をスキャンする方法しかできなかったが、今回の発見でこれからはPET検査なしでも脳脊髄液検査だけで疾病段階を正確に判断することができ、診断と治療計画の樹立に大きく役立つものと見られる。
米セントルイス所在のワシントン医科大学(Washington University Schoolof Medicine)の研究チームは、脳脊髄液から検出される微細管結合部位タウ(microtubule bindingregion tau, MBTR tau)のうち「MBTRタウ-243」の数値がアルツハイマー病の段階がわかるバイオマーカーになり得るという事実を、70代男女100人の脳脊髄液分析を通じて明らかにした。
100人の研究対象男女のうち30人は認知障害がなく、アルツハイマーの兆候もなかった。 58人は認知症状がなかったり、軽症または中程度のアルツハイマー認知症を持つアミロイド·プラークがあり、残りの12人は他の疾患によって認知障害があった。
ところが髄液分析の結果、「MTBRタウ-243」の数値がアルツハイマー病患者の方が高くなっていた。 また、認知障害の程度がひどいほど、MTBRタウ-243」が多く発見された。
さらに研究チームは、アルツハイマーにかかった20人と症状のない15人の計35人を対象に、PET脳スキャンで見られるタウの量を脳脊髄液から検出されたMTBRタウ-243の数値と比較した。 その結果、タウの量と「MTBRタウ-243」の数値との間に比例関係があることが確認された。
その後、アルツハイマーの進行と「MTBRタウ-243」数値との相関関係を分析するため、短くは2年、長くは9年にわたって後続研究を行った。 100人のうち最初の研究当時、アルツハイマー初期状態で測定された14人と正常状態の14人を対象に後続追跡研究を行ったのだ。 その結果、アルツハイマー初期に測定されたグループの「MTBRタウ-243」数値は、認知機能テストで点数が悪化するほど一緒に増加した。
研究首席著者のランダル·バイトマンワシントン大学医学部教授は「このMTBRタウ-243バイオマーカーを利用した検査法が大衆化すれば、認知機能の低下がアルツハイマー病のためなのか、またアルツハイマー病のためならどの段階にあるのか、PET撮影なしでも調べられるだろう」と述べた。
ベイトマン教授は続いて「現在進行中の他の研究で他の種類のタウタンパク質に基づいた血液検査法を開発しているが、まだどの検査もタウタンパク質の量で病気の深刻度を診断することはできない」と今回の研究の成果を評価した。
今回の研究の第1人者、カンタ·ホリエ米ワシントン大学医学部客員研究員は「MBTRタウはタウタンパク質の中で不溶性のかけらであり、アルツハイマー患者からよく発見されるタウアンキム(tautangle)の主要成分だ。 脳を循環しながら脳に栄養を供給する脳脊髄液の中で溶けず、タウのもつれを構成する特定タウの数値を測ることができれば、タウのもつれが脳にどれだけ広がっているかを知ることができると思った」とMBTRタウに関心を持つようになった背景を説明した。
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