【ソウル=ヘルスコリアニュース】 食品医薬品安全処が11月30日、大熊(デウン)製薬の糖尿病治療新薬「エンブロ錠(Envlo Tab), 成分名:イナボグリフロジン-Enavogliflozin)」0.3mgを市販許可した。 これで大熊製薬は昨年、食品医薬品安全処の許可を受けた胃食道逆流疾患治療新薬「ペクスクル錠(Fexuclue Tab), 成分名:ペクスプラザン-Fexuprazan)」に続き、2年連続で国産新薬開発に成功した企業となった。
「エンブロ錠0.3mg」はSGLT2(sodium glucose cotransporter 2、ナトリウム-ブドウ糖共同輸送体2)阻害剤機序の糖尿病新薬だ。 今回承認された適応症は▲「エンブロ錠」単独療法▲メトホルミン(Metformin)との併用療法▲メトホルミン及びゼミグリプチン(Gemigliptin )との併用療法などの計3つで、今後糖尿病治療剤市場の版図にも少なからぬ影響を及ぼすものとみられる。
SGLT2阻害剤系列糖尿病治療剤は、約93兆ウォンに達する全世界の2型糖尿病市場を急速に代替している薬物だ。 このうちSGLT2阻害剤のグローバル市場規模は2021年基準で約27兆ウォンに達した。 国内市場は約1500億ウォン規模で、まだそれほど大きくないが、今後爆発的成長が予想される。
大熊製薬は今回の食薬処の許可で、これまで多国籍製薬会社を中心に開発及び許可が進められたSGLT2阻害剤系列領域で、国内で初めて該当系列糖尿病新薬開発に成功した会社になった。
会社側は「エンブロ」を国内市場に先に発売し、グローバル市場攻略に乗り出す方針だ。 このため、直ちに「エンブロ錠」の給与及び薬価関連手続きを進め、単独療法、メトホルミン併用療法、メトホルミンとジェミグリプチン併用療法など、すべての適応症に対して2023年上半期中に給与登載まで終える計画だ。
続いて2025年までに中国、ブラジル、サウジアラビアなど主要10ヵ国に新薬を発売し、2030年までに全世界約50ヵ国に進出するというロードマップを構成した。
同社は現在、追加適応症確保のための臨床と多様な成分の複合剤開発も進めている。 特に、現在進行中のメトホルミン複合剤は臨床を早期に終え、来年下半期に発売するという目標だ。 これを通じて3年間累積売上高1000億ウォンを達成する計画だ。
これに先立ち、大雄製薬は今年10月、2型糖尿病患者を対象に行った臨床3相結果の発表を通じて、「エンブロ錠」の優れた血糖降下効果と安全性を確認した。 特に「エンブロ錠」は既存SGLT2阻害剤の30分の1以下に過ぎない0.3mgだけで同等の薬効を証明し、血糖調節が不十分だった患者に新しい治療オプションになると期待している。
単独療法の場合、投薬後24週目の時点を基準に、「エンブロ錠」投薬群の糖化血色素(HbA1c)数値は、プラシーボ(placebo)群に比べて約1%p減少し、統計的有意性を確保した。 体重、血圧、低密度脂質タンパク質-コレステロール(Low Density Lipoprotein Cholesterol、LDL-C)、高密度脂質タンパク質-コレステロール(High Density Lipoprotein Cholesterol、HDL-C)でもプラシーボ対比有意な改善効果を確認した。
メトホルミン併用療法及びメトホルミンとジェミグリプチン併用療法の場合、対照群であるダパグリプロジン(Dapagliflozin)と24週間投与結果を比較した時、非劣等性と安全性を立証した。
SGLT2阻害剤は腎臓の近位尿細管に存在し、ブドウ糖の再吸収に関与するSGLT2輸送体を選択的に抑制し、ブドウ糖を直接尿として排出させることで血糖値を減少させるメカニズムを持っている。
大韓糖尿病学会は「2021糖尿病診療指針」で心不全を伴う場合、心血管状態の改善が立証されたSGLT2阻害剤を含む治療を優先勧告し、粥状硬化心血管疾患を伴う場合、併用療法時に心血管状態の改善が立証されたSGLT2阻害剤あるいはGLP-1受容体作用剤を含む治療を優先勧告している。
大雄製薬のイ·チャンジェ代表は「SGLT2阻害剤系列の糖尿病新薬はグローバル市場でも最も注目される薬物として、『エンブロ錠』を国産技術で国内で初めて開発したことが大きな意味がある」として、「ライバル会社と大きな差で臨床期間を大幅に短縮したことも注目に値する点」と評価した。
イ代表はそれと共に「国内外の糖尿病患者に最も優秀な(Best-In-Class)糖尿病新薬を提供することで患者の生活の質向上のために努力する」とし「デウン製薬はオープンコラボレーションとユン·ジェスンCVO(Chief Vision officer)の諮問を基に新薬開発力量とグローバル事業を持続的に強化していくことで着実に国内製薬産業発展に寄与する」と明らかにした。
[用語説明]
①糖化血色素=約3ヶ月間の血糖平均値を確認する指標として、糖尿病患者の状態を評価する基本資料として使われる。 健常者は糖化血色素の数値が6%未満で、一般的に糖尿患者の場合は7%以下に管理目標を設定する。
②メトホルミン=肝臓でブドウ糖が生成されるのを防ぎ、腸ではブドウ糖の吸収を減少させ、インスリン(Insulin)に対する敏感性を改善する糖尿病治療剤だ。 食事及び運動療法を通じて血糖調節が十分にできない2型糖尿病患者、特に過体重の糖尿病患者で血糖を減少させるために使われる。
③ジェミグリプチン=インクレチン( Incretin)という胃腸管ホルモンの分解を抑制し、インスリンとグルカゴン(Glukagon)を調節するインクレチンの機能が体内でよく行われるようにすることで血糖を調節する役割をする薬物だ。 食事療法及び運動療法の補助剤として使用される。[헬스코리아뉴스]