「ソウル=ヘルスコリアニュース」 膝関節炎でよく現われる膝の痛みと高コレステロール血症との相関関係が明らかになった。 これまで膝の痛みは明確な発病のメカニズムなどが明らかにされなかったが、今回の研究結果がベールに隠された関節炎の痛みの非手術的治療方法に手がかりを提供するものと期待される。
延世(ヨンセ)大学セブランス病院整形外科のパク·グァンギュ教授、江南(カンナム)セブランス病院整形外科のチョ·ビョンウ教授の研究チームは、国民健康栄養調査データを利用し、60歳以上の韓国人を対象に膝の痛みと高コレステロール血症との相関関係を明らかにした。
膝関節炎は老年層でとてもよく見られる疾患で、高齢化に伴って患者数も毎年増加している。 膝関節炎の様々な症状のうち、膝の痛みは関節炎患者たちが最も多く訴える症状だが、明確な様相とメカニズムは知られていない。 患者によって関節炎がひどくないため手術的治療が必要ないにもかかわらず、痛みによって日常生活が不可能でもあり、末期関節炎があってもそれほど不便なく日常生活が可能な場合もある。
研究チームは2010年~2013年までの国民健康栄養調査データを利用して国内60歳以上推定対象者3552万4307人を対象に膝の痛みの有病率を調査し、各種代謝疾患(高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高中性脂肪血症、高血圧、糖尿、代謝症候群)と膝の痛みとの関連性を多変数順序型ロジスティック回帰分析を通じて調べてみた。
国民健康栄養調査データによると、国内60歳以上推定対象者数3552万4307人のうち1063万836人(29.9%)が膝の痛みを訴えた。 特に、膝関節炎がある患者群(放射線学的関節炎等級2段階以上)2029万421人のうち811万9372人(40%)が膝の痛みを見せた。
様々な代謝疾患の中では、膝関節炎がある60歳以上の韓国人で高コレステロール血症が膝の痛みと関連性(交差比1.24、95%信頼区間1.02-1.52)があることが分かった。 これは、高コレステロール血症のある患者は、高コレステロール血症のない患者に比べ、膝の痛みが発生する確率が24%増加することを意味する。 しかし、関節炎のない患者群(放射線学的関節炎等級2段階未満)では、いかなる代謝疾患も膝の痛みと関連性を見せなかった。 これらの結果は性別、年齢、体質量指数、居住地域、世帯所得、アルコール消費量、身体活動程度、教育水準などを補正したものだ。
関節炎を持つ患者を高コレステロール血症の状態によって正常群、高コレステロール血症調節群、高コレステロール血症非調整群に分けて比較したとき、高コレステロール血症の診断を受けた患者は正常群に比べて高い水準の膝の痛みを見せた。 しかし、高コレステロール血症の調節如何は、膝の痛みの水準に影響を与えなかった。
パク·グァンギュ教授は「動物研究と実験室研究などで骨関節炎が代謝症候群のような内科的代謝疾患と関連があるという多くの研究結果が明らかになっているが、実際の人を対象にした研究では代謝疾患と膝の痛みとの関連性について明確に明らかにされたことはない」とし「今回の研究で高コレステロール血症と膝の痛みとの関連性を知ることができた」と述べた。
チョ·ビョンウ教授は「今回の研究結果は骨関節炎の痛みの本質を理解させ、関節炎の痛みに対する非手術的治療方法を見つけることができる新たな糸口になるものと期待される」と述べた。
今回の研究結果は国際学術誌「臨床医学ジャーナル(Journal of Clinical Medicine、IF3.30)」の最新号に掲載された。